大判例

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仙台高等裁判所 昭和28年(う)833号 判決

まず職権を以つて原判決を調査するに、原判決は原判示第一の事実説示において、被告人は法定の除外事由がないのに(一)昭和二十八年三月末頃、仙台市新河原町中村ろく方においてザルボール四十CC・葡萄糖二十CC・カフエイン、食塩及び水若干を原料として調合の上、医薬品である注射液三十本(五CC入)を製造し、(二)同年四月十二、三日頃同所において、カフエイン約七グラム、食塩若干、水一升を原料として調合の上、医薬品である注射液約千八百CCを製造したものであると判示し、その法律の適用において、被告人の右第一の各所為はいずれも薬事法第二十六条第一項第五十六条第一項に該当するものとし、以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるとして、同法第四十七条により併合罪の加重をしている。しかし薬事法第二十六条第一項は「医薬品、……の製造業を営もうとする者は、省令の定めるところにより、手数料を納めて製造ごとに厚生大臣の登録を受けなければならない」と規定しているから、同条違反の罪の判示としては、厚生大臣の登録を受けないで医薬品を製造した旨説示するだけでは足らず、その医薬品の製造業を営んとだことをも判示するを要する。されば、原判決の判示を以つてしては製造業を営んだことの判示を欠き、事実理由不備の違法あるものといわねばならない。

また一個の製造所で医薬品の製造業を営んだ所為は包括一罪を構成し、原判示の如く併合罪とならないから、原判決は判決に影響を及ぼすことの明らかな法律の適用の誤りをもおかしたものである。そして、原判決は右の事実と原判示その余の事実とを併合罪として処断しているから、原判決は全部破棄を免れない。

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